全日本私立幼稚園連合会
会長挨拶
渡され受け取ったバトン
全日本私立幼稚園連合会
会長 尾上 正史
令和6年5月に開催されました定時総会におきまして、会長就任の承認を賜りました、尾上正史(おのうえ まさふみ)でございます。爽やかな五月の季節ではありましたが、相反する怒涛のような数年のできごとを考えました。一連の不祥事からマスコミの標的になったこと、失われた信頼。様々なことが走馬灯のように浮かんできました。前会長と共にどのようにすれば道を正すことができるのか、考え続けた数年だったと思います。そして今、期せずして、前会長から渡されたバトン。全日本私立幼稚園連合会の7,500 園を束ねる。受け取ったバトンの重みが今更のように肺腑にしみ入ってきております。
私の住む福岡市は、“天神ビックバン”と称した都市再開発プロジェクトや、増え続けるインバウンドなど、コロナ禍以前の活気にあふれています。しかし一方で、少子高齢化という大きな問題を抱えています。福岡のみならず、このままいけば2100年の日本の人口は6300 万人に減ると言われています。現状からほぼ半減してしまうのです。1 万人以下の自治体はインフラなどの生活サービスが困難になり、荒廃化も予測されます。1930 年ごろの日本の人口もちょうど同じくらいでしたが、違うのは高齢者の比率です。当時は65 歳以上が全体のわずか4.8%でしたが、2100 年には40%に達するそうです。手をこまねくばかりでは、社会保障やその他の仕組みが維持できず、悲観的な将来が待ち受けているのは明白です。
この問題に関して、「人口戦略会議」と称する民間の有識者会議は、今年1 月には社会全体で子育て世代を支える「共同養育社会」のコンセプトを公表し、岸田首相にも提言書を手渡しました。目指すのは、徐々に出生率を引き上げ、2100 年の日本の人口を8000 万人レベルで安定させることです。地方では存続の危機にある園もあると聞き及んでいます。現在(いま)を生きる世代の責任、そして、このタイミングで会長の職にあるものの責任として、この問題に腰を据えて取り組んで参ります。
その他にも、組織改革、(一財)全日本私立幼稚園幼児教育研究機構との関係性を示す事、幼児教育振興法の成立等々取り組む大きな課題が山積しています。この状況を打開するためには、認定こども園、保育所等など他団体とアライアンスを結び、内外に広く幼児教育の重要性を訴えていくことも必要です。また、次世代のリーダーを育成することが必要不可欠です。
いつの世も、志を持った次の時代を担うリーダーがいないと栄えません。
渡されたバトンは、託された意志です。受け取ったバトンは、意志を継ぐ責任です。しっかりと握りしめ、未来につなぐため、一心に走り続けるつもりでおります。前会長同様に今後とも変わらぬ会員園の皆さまのご協力、ご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。